2013年 11月 27日
大徳寺孤篷庵でのお香の会 |
志野流香道室町教場蒼香の会が秋深まる孤篷庵で開かれました。
組香は宇治山香と秋夜香。
宇治山香は古今和歌集から「わが庵は都のたつみしかそ住むよを宇治山と人はいふなり」
の五句から五種試しを聞き、同じ五種を打ち交ぜ四つ捨て一つ出香の香りを探すもの、
和歌からの組香は雅びを感じ気持ちの良いものです。
秋夜香は秋夜と雁の試しを聞き秋夜と白雲六包を打ち交ぜ聞き分け
後出香で雁と月を聞き分けるもの。
全は出にくかった様ですが深まる秋を感じられる優雅な組香です。
私は忘筌の間で一日中席主を努めました。
朝から夕まで小堀遠州の空間で居ると刻々と変化する光は陰翳礼讃そのもの、
なんだか後ろで遠州公がニヤッと笑っているような気がしました。
忘筌は「荘子」にある「魚を得て筌を忘る。蹄は兎に在る」要は「何が目的で何が手段
なのか間違いのないように注意しなさい」という意味だそうです。
その意に登場する「兎」からの露結耳のつくばい、
「魚」からの黒玉石と石組みで表現した琵琶湖は、赤土による湖と苔、赤松の木立に
よる湖と船岡山、近景、中景、遠景とどこまでも琵琶湖がひろがっていきます。
孤篷は「一艘の苫舟」の意とのこと、琵琶湖に浮かぶ屋形船が忘筌の間でしょうか。
飽きのこない仕掛けに見とれていると遠州公の「どうだ」という声が聞こえた気がします。
家元にもおこし願った蒼香の会、今年で第十回になりました。
山田松香木店にある「向蒼軒」で日々研鑽をかさねている会員にとって晴れの会、
存分に成果が発揮出来たことと思います。
なによりも香りと秋を楽しめた至福の一日でした。
岡﨑韶之
by okazaki_ao
| 2013-11-27 15:14
| 岡﨑建築設計室HP